異変はカラダからのサイン – 38歳・男性・フリーランスが腎盂腎炎で苦しんだお話
どうも、ナレーターをしながらボイトレをさせないボイストレーナーをしていて、さらにカラダのことに詳しいITエンジニアをしているトクガワ です。
先日、ものすごい高熱を出しましてね。ある病を経験しました。
私はフリーランスなので時間の使い方はかなり融通が利きます。仕事をするのも、遊ぶのも全部自分のさじ加減。だから仕事をしていないと不安になることもしばしば。
高熱を出して動けないくせに「仕事もせずに寝ていていいんだろうか・・・」なんてことを考えていました。
でも、熱にうなされて寝込んでいるときに、色々と学んだこともありました。(転んでもただじゃ起きたくないっ!!)
なので、今回は心のままに綴りたいと思います。
異変は突然やってきた
いつも通り仕事をしていたある平日の夕方前でした。15時半頃かな。日中は7月中旬なのに猛烈な暑さだったので、気温も少し下がっただろうし気分転換のために散歩に出かけようとしていたんです。
でも少しカラダが重く、ほんのり熱っぽいような・・・
まぁ気休め程度に体温計を脇に挟んで体温を測ってみたんです。「まぁ、熱があったら明日にでも病院に行けばいいや」くらいに考えていました。どうせ夏風邪だろう。咳も出ないし、喉も痛くない。風邪の諸症状は全くなかったので、軽い気持ちで考えていたんです。
ピピピピッ・・・・
計測終了の音が鳴ったので体温計に表示された数値を見ると38.6℃。
「えっ!?これ大丈夫?」
いつも風邪の症状が見られたとき、私は耳鼻科に行くんですけどね、この時は耳鼻科じゃないなと思ったんです。だって喉にも鼻にも何にも異変がなかったから。
それに風邪の初期症状にしては熱も高いし、咳や痰や喉の痛みは全くない。なんだか嫌な予感がしたので近所の内科に行きました。とにかく薬をもらっておいた方がいい。そう思ったんです。
自分の体温を知ったせいか、一気に寒気が増したので長袖パーカーを着て病院に向かいました。夏の日差しの中でも全く暑さを感じませんでした。(周囲の人から見たら、真夏に長袖パーカーってどう見えただろうねw)
さてさて、アレクサンダー・テクニーク教師である私は、こんな時でもちょっと考えてしまうわけ(まだ卒業してないので仮免だけどね)。「こんなときアレクサンダー・テクニーク使ってみたらどうなるだろう?」って。で、使ってみたわけです。そしたら全身で悪寒を感じる!寒い!!
ちなみに『アレクサンダー・テクニーク』を知らない方のために少し補足。『アレクサンダー・テクニーク』というのはウィキペディアなんかにも載っていますけどね、ぶっちゃけ書いていることがワケわかんないので読まなくてもいいです。簡単にトクガワ流で説明すると「カラダのデザインに沿った使い方をすると、カラダの動きの質やパフォーマンスがよくなるよ」っていうものです。その反対もしかり、カラダのデザインに反した使い方をすると、動きの質やパフォーマンス、柔軟性や可動性が阻害されます。
私はアレクサンダー・テクニークをベースに声を扱うレッスンをしています。声のレッスンというのは表向きのフェイクで本当は「その人の3年後の未来を変える」ためのレッスンです。だって、未来変えるとかって怪しいと思いません?でも確実に変わりますけどね。
だから、この絶不調な状況でカラダのデザインに沿った使い方をすると、その分だけカラダの各機能が働き出します。だから、私のカラダの異常を知らせてくれるシステムがフル稼働した模様。だから全身で悪寒を感じられたわけ。
こんな機会そうそうないぞ、と喜びをかみしめながら病院に向かいました。(ドMかw)
先生の問診
病院はそこそこ混雑していました。平日の午後の診療なのに連休前だったせいですかね。約30分くらいの待ち時間を経て、先生の問診を受けました。
先生はそう言いながら私の左側の腰より少し上のあたりに手を置きました。そしてもう一方の手で腰に添えた手をノックするようにしました。
正直、このときは「一体これで何がわかるんだ?」と思っていました(先生、ゴメンナサイ)。
そして先生は私の右側の腰の上あたりでも同じようにトントンと叩きました。
そう言って先生はさっきよりも力を弱めて左右の腰のあたりをトントンと叩きました。
風邪のつもりで病院に来た私は、思わぬ時間をとられることに・・・。
とはいえ、これで何もなければいいけど、何かあって早期発見のお陰で対処できるなら、それに越したことはない。なにせカラダの健康も大切なリソースのひとつですからね。
採血にために処置室に行こうとする私に、先生がこう言いました。
この時の私は食べたものが影響してたのか?とか考えていました。だから先生もあんな質問をしたんだと。
血液検査と尿検査の結果、白血球値が異常に高いことがわかり、先生からの伝えられたことによると細菌感染による炎症の可能性が高いとのことでした。膀胱か前立腺が炎症を起こし、それが腎臓の方まで達しているんじゃないかとのことでした。大腸菌が原因になることが多いそうです。
ひとまず、抗生物質による投薬で様子を見ることになりました。
病院の帰り道、私はあることが気になりました。
「先生はなんであんなこと聞いたんだろう?」と。あの夜のお店に行ったかどうかという質問ね。
病院からの帰り道、全身で悪寒を感じながら考えてみると、先生の意図は食べ物を確認したわけじゃないことに気づきました。風俗とかでの性病感染を疑っていたわけだ。
ちなみに、翌日はランチの約束をしていたんだけど、この時には「明日になったら治るだろう」と甘く見ていました。その後、あんなに苦しむとは思ってもみませんでした。
どうやら腎盂腎炎というらしい
家に帰って体温を測ると、また38℃後半にあがっていました。もう何もできない。とにかくベッドで横になるだけ。本を読もうにもアタマも回転しないのでもう休業です。
ただ寝るしかない。とはいえ眠れる訳がありません。初めての症状を体験しているわけです。熱はあるし、カラダもだるいし、常に尿意はあるし、トイレに行くと圧迫感あるし。この状況がいつまで続くのか、とにかく情報を集めることにしました。膀胱とか前立腺の病気って初めてのことで全くわからんしね。
でも膀胱炎とか前立腺炎とかを調べて見ても症状が一致しないんですよ。膀胱炎や前立腺炎って排尿の時に痛みを伴うそうなんですけど、私の場合は痛みはないんです。ただ圧迫感のような違和感があるだけ。
「膀胱炎はさほど心配する病気ではありませんが・・・」と書かれている情報もありました。
いやいや、ワタシめっちゃ高熱で出てるし心配よ???
もしかして膀胱炎とか前立腺炎じゃなくって腎臓の病気なんじゃ・・・。
一気に不安が訪れます。この高熱はいつまで続くのか?本当に大丈夫なのか?
知り合いに医療関係のお仕事をしている人がいたから症状を伝えてみました。そして返ってきた答えがこれ。
「それ、腎盂腎炎じゃない?とにかく水分とって出すしかないね」
腎盂腎炎(じんうじんえん)という初めて聞く病名。すぐさまググりましたよ。ググれば色んな情報が見つかるなんて、本当に便利な世の中になったもんです。
ヒットしたサイトの多くは医療法人や病院、製薬会社のサイトです。とにかく片っ端から見てみます。
ふむふむ、腎臓で作られた尿は腎盂という所を通って尿管に流れて膀胱に行くのね。あー症状がビンゴやわ。熱あるし、背中痛いし、頻尿・残尿感もあるし。
読み進めていくと「命にかかわるわることも」とあり、急に焦りました。
そしてWikipedia先生にはこう書かれていました。
発熱、腰背部痛、悪心、CVA叩打痛、白血球尿、細菌尿などを特徴とするが、この疾患の非常に恐ろしいところは容易に敗血症や播種性血管内凝固症候群 (DIC)、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) を起こすことである。よく知られた経験則に「発熱が認められれば、腎盂腎炎のような上部尿路疾患であり、認められなければ、膀胱炎のような下部尿路疾患である」というものがある。発熱が認められない場合、基本的には下部尿路疾患を疑うが、感染が上行してきて腎盂腎炎になる場合もあるので、注意して経過観察をする必要がある。
マジか!?ここで敗血症とかその他の病気を調べてみて、余計に不安になり、調べれば調べる程悪い情報しか見つからない。
このままじゃ不安が増すばかりなので腎盂腎炎になった人の体験でも読んでみようと思い、「腎盂腎炎 体験」でググってみる。
たくさんの方がご自身の体験をブログにまとめてくださっていたのですが・・・ほぼ皆さん入院してる!!
1週間~2週間の入院を経て治療した方のブログしか見つからない!!
調べれば調べるほど不安になっていくわけです。そこでようやく私は事の重大さを認識し、翌日のランチの予定のかたにキャンセルの連絡を入れ、調べるのも諦めて寝ることにしました・・・
ここまででも10分に1回のペースでトイレに行ってましてね、トイレに行くたびに閉塞感が襲ってくるので気も滅入ってきました。いつまでこれが続くの・・・?と。
しかし、まだまだ序章に過ぎませんでした。
衝撃!その夜、うすいピンク色のおしっこがでた
病院では水分をたくさんとってくださいねと言われていたので、普段はコーヒーを飲んでいる私ですがひたすら水を飲みました。
だからトイレに行きたくなるのは当然なんですけどね。でも菌を流すためにも大切な事らしいんです。相変わらず熱も38℃後半になっては処方された解熱剤を飲み、37℃後半に落ち着く。でも薬の効果が切れてくるとまた熱が上がってくる、の繰り返しでした。
寝転んで何もしないのも罪悪感があり、本を読むことにしました。
・・・が、全く中身が入ってこない。熱があるけど起き上がっていようかなと思うと、背中の真ん中あたりや腰のあたりがめちゃめちゃ痛く、起き上がっているのが大変。脊柱起立筋が働こうにも悲鳴を上げているようでした。だから大人しく横になるしかない。本は本棚に戻して、プロメテウスコアアトラスを眺めていました(笑)
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熱と尿意のせいで日中も夜もほとんど眠れません。
そして真夜中のトイレで「あかん、これ救急で病院いかなアカンかも・・・」と呆然とする事態がありました。
おしっこが見たこともない色をしていたのです。
例えるならグァバジュースをめちゃめちゃ水で薄めたくらいの薄いピンクのおしっこがでたのです。
しばらくその場を動くことができませんでした。
とりあえず数回呼吸をして、ベッドに戻りました。で、腎盂腎炎という病名を教えてくれた人に「うすピンク色のおしっこがでたんやけど・・・・これ大丈夫?病院いかなアカンよね」とSOSを投げかけてみると聞いてみるとまだ起きていたようですぐ返事をくれました。
「膀胱炎併発してるなら血が混じって当然やろ。はよ寝ろ」
そうなのか。血が混じっているからこんな色なのか。そう考えるとブログで体験談を書いていた方は赤いおしっこだったって言ってたから、まだ私は軽度な方なのか。。。
そんな風に思いながらベッドで横になりました。
情報は力なり・・・
熱は続くよ、翌日も。最高到達は39.8℃
翌日も朝から38℃をキープ。相変わらず尿意も続くし、こんな状況じゃランチなんてできません。あらかじめ前日にキャンセルをお願いしておいてよかった・・・
するべき事はもうわかっている。水をたらふく飲んで、安静にしていること。ただそれだけなのに、時間がメチャクチャ長い。
普段仕事してたりすると時間が足りないと感じるのに、この時ばかりは時間が長すぎると感じました。
携帯ゲーム機で遊ぼうにも、唯一持っているNintendoDSのソフトが「えいご漬け」だけ(古いっ)。熱があるのに勉強なんてしたくないですw
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これほど1日を長く感じたのは初めてかも知れません。そんな日に限って、私の免疫システムはフル稼働。高熱が出ては解熱剤を飲むんだけど、少なくとも服用から6時間以上あけないと次の服用をしちゃダメと言われていたので、熱が上がっても時間が経っていないと解熱剤を服用できないのです。
その間にも私の免疫システムはフル稼働し、熱はグングン上がっていきます。この日記録した最高体温は39.8℃。熊谷の夏か!と自分で突っ込むくらいの気力は残っていたようです。
この日も病院に行くために外出したんですけどね、長袖のパーカーとスウェット着用で外に出て、ようやく快適だと思えるくらいでした。
とにかくこの日も水を飲みまくりました。前日に引き続き2リットル飲みました。
ベッドから時間を合計すると1時間くらいだったかもw
3日目、大分落ち着いてきた
最初に悪寒を感じてから2日後の朝。目覚めたとき、明らかに前日との違いを感じました。鼠径部の閉塞感もないし、熱もなさそう。体温計を脇に挟んでみると、なんと36℃後半!すこし高めですがここ数字の体温と比べるとメチャクチャ快適!おしっこするときも閉塞感もない!
この日も病院に行くように言われていたので行きまして、状況を先生につたえました。
初診の時にされた背中をトントンするやつも前回と比べると随分マシ。まだ右側の方が響くけどね。
もう一度、血液検査をして数値を見ると、白血球値が随分下がってきたとのこと。それでもまだ平常時よりは高い状態だったけど。
先生曰く「まだ炎症は残ってるから引き続き水分をとっておくこと。あと1週間分の抗生物質を出しておくので飲みきってくださいね。その後、もし何かあればまた来てください」とのこと。
それから1週間、二度同じ思いをするまいと誓い、飲み会の誘いも断り、ミーティング後の打ち上げでもウーロン茶で我慢し、ノンアルコールビールすらも断ちました。
その甲斐あってか、処方された薬をすべての見切った後も、特に何も気になることもありませんでした。
これ、治ったって考えていいんだよね?
医師に学ぶレッスンの極意
さて、今回の体験を通じて、私はあることを学びました。いや、気づいたという方が良いかもしれません。
先生の問診と診断の進め方がね、私がレッスンで大切にしていることと似ているなと思ったんです。
患者の訴えをもとに、それだけを鵜呑みにせずに、事実をもとに推測する。その見立てが正しいか、触診や血液検査をしてみる。そこで得られた情報や数値などの結果をもとに、別の可能性がないかを考慮し、適切な処方をする。
私がまさにボイスアクティベーションのレッスンでやっていることと似ているんです。
生徒がレッスンに持ち込んだテーマや望みを聞き、まずは生徒にやってみてもらう。そこで見た情報(生徒のカラダの使い方など)をベースに推測し、新しいプランを提案してみる。それを生徒に実行してもらい、生徒が望み通りにできたならそれでいいし、まだ何かうまくいっていないことがあるならまた別のプランを提案する。
ね。似てるでしょ?
多くのレッスンは先生から生徒への一方的な指導スタイルが多いです。でもそれでは生徒は上達しないし、悩みも解決しない。無論、生徒が望んでいる未来(うまくなりたいとか上達したい)なんて手に入れられるはずがありません。
だって指導者が生徒の未来を邪魔しているんですから。
病院の先生の問診・診断を通じて、大切な事を学ばせていただきました。
まとめ
今回のまとめなんですけどね、「とにかく異変を感じたら病院に行け!」です。
痛みや不調を自慢しながらカラダを酷使するなんてアホの極み。そんなの、何一つ自慢でもないし、格好良くもない。誉めることでもない。でも世の中にはそれを賞賛する世界もあるわけで。気が狂ってるとしか言いようがありません。
私の知り合いにもいますけどね、「オレ、肝臓やばいのよ」とかいいながら酒飲んでる人。ただの自傷行為じゃないですか。
自分のカラダの状態を知ることができるのは自分だけなんです。
もっとカラダからのサインやメッセージに耳を傾けましょう。
仕事が忙しいとかいって病院に行かずに放置して、気づいた時にはもう大事になっているんです。数週間の入院が必須だったり、もう手遅れになってしまったなら、仕事とか忙しいとか言ってる場合じゃありませんよ。
命あっての物種です。
ホント、今回のことは不幸中の幸いでしたよ。
以上、 38歳・男性・フリーランスが腎盂腎炎で苦しんだお話でした。
ビバ、健康\(^^@)/