交感力
以前、役者にとって必要とされている能力の二つのうち『設定力』を紹介しました。
今回は『交感力』について。
俳優が演技をするにあたって、ほとんどと言っていいほど共演相手がいます。
その相手と空気感のやりとりをする力が『交感力』。
演出や監督からのダメ出しで「相手の台詞を聞きなさい」といわれるのも
この交感力が足りていないことが原因だと思うのです。
実はこの交感力、日常生活では意識せずとも発揮できているんですよね。
上司がピリピリしていたら機嫌を損ねないように気を遣ったり、
友人が落ち込んでいたらあまり騒がないようにしたり、
無意識のうちにTPOに応じて見事に使い分けているのです。
でも台本やセリフがあると、自分のセリフを言うことに意識が向いてしまうんですよね・・・。
「アイツがコレを言ったら、俺がこう言う」みたいに、自分のセリフを言うことが
自分の仕事だと無意識に思ってしまっている。
これが「相手のセリフを聞いていない」という状況ではないでしょうか。
つまり、自分のやるべき事だけやりますから後はよろしくね状態。
ということは、交感力って 役者、演出、監督、音響、美術、など
たくさんのスタッフがひとつの作品を作り上げるために集まっているのに
役者が、自分だけの仕事だけをこなして、「みんなで一緒に作り上げる」という意識が
欠けていることにもつながるのではないでしょうか?
「みんなで一緒に作り上げる」からこそ、共演相手と向き合う。
相手がどんな空気なのかを察知して、自身の演技中の行動に反映されて初めてシーンの空気が作られていく。
交感力って、チームワークみたいなものに近いと思うのですが、 その一言では片付けられないくらい広義なものかもしれません。
だって、空気感を作るのには「観客」も忘れてはいけないですよね?
この続きはまた改めて・・・