設定力
ナレーションの表現力の向上を目指して
Actors’s Rings SYMBIONのムービーコースで学んでいます。
今回のテーマはSYMBIONで学んだことのひとつ。
役者にとって必要とされる能力は大きく2つあるそうです。
それは「設定力」と「交感力」。
今回は「設定力」について。
いわゆる自己暗示能力ですが、人間関係・場所・時間など、自分の周囲の環境を自分に信じ込ませる力のことです。
芝居の中の出来事は、実際に起こっていることではありませんが、
役者は観客に本当に起こっていることを見せることがお仕事です。
リアルに近づけるためには、自分の所在をはっきりせねばなりません。
たとえば、崖で過去の過ちを告白するシーンなのに
役者自身が「私はどこそこの劇場の舞台に立っていて・・・」と思っていては
役と役者の間には隔たりができてしまいます。
その差を埋める、役に近づけるために必要なの力が「設定力」。
役と同じ環境を自分自身を信じ込ませることができるか、という力です。
設定を作り込むために必要なポイントは 5W1H です。
英語の授業でも習ったことがあると思いますがおさらい。
When ・・・ いつ
Where ・・・ どこで
Who ・・・ 誰と、誰に
What ・・・ 何を
Why ・・・ なぜ
How ・・・ どのように
すべて明確になるに越したことはありませんが、
1つ明確になるだけでも、演技が変わります。
それはなぜか?
これらの要素を明確にした時点で、役者に「制約」が生まれるからです。
例えば、Whenを「27:00」にしたとしましょう。
真夜中、午前3時です。場所がどこであれ、普段であればそんなに大声で話す時間帯ではありません。
ここに、Whereとして「公園のベンチ」をいう設定を追加します。
午前3時の屋外。人は寝静まり、周囲はシーンとしています。
自然と声も小さくなり、心も静まります。
こんな風に、一つ一つの要素を明確にし、自分に設定を持たせることで
役の状況と自分の状況の差を埋め、演技にリアリティを持たせるための力が「設定力」です。
さて、この「設定力」をナレーションに応用すると・・・?
役者の方が素敵なナレーションをされるのは、この「設定力」をお持ちだからかもしれません。
テレビでオンエアされている役者のナレーションを聞きながら、
どんな5W1Hかを想像するのも楽しいですね。